イソラはペットサロンなので、保険を取り扱っているわけではないのであまり深く調べた事はありませんでしたが、遺伝性疾患の扱いは気になる部分だったので少し調べてみることに。
ペット保険に加入する時期は「子犬の受け渡し時」「受け渡し後に自分で加入」のどちらかですが、ブリーダーさんやショップさんが、引渡前に行う健康診断で子犬に異常があった場合には、保険の手続きの際に申告する事となっており、自分で加入する場合もそれは同じです。
その後、契約前には診断では見つからなかった遺伝性の疾患が発覚したケースですが、遺伝性疾患は生まれつき発症するとは限らないので、後で分かる事は普通にあります。
先天性遺伝性疾患が補償されるかどうかは、実は
大手各社の遺伝性疾患の対応を調べてみました
アニコム、アイペットは「臍ヘルニア・そけいヘルニア」のような主に先天的なものは補償されませんが、「膝蓋骨脱臼やレッグペルテス」など後から発症する可能性のあるものは補償されます。
アクサ、ペット&ファミリーでは先天的ないし遺伝的または発達異常を原因とするケガまたは病気は補償されません。
アクサのサイトには、「ウォブラー症候群、肘関節形成不全、股関節形成不全、レッグペルテス病、膝蓋骨脱臼、眼瞼外反、眼瞼内反、進行性網膜萎縮、動脈管開存症」などは補償されないと記載されています。
保険契約時に動物病院の診断されている病気があれば、きちんと保険会社に伝えているという事が大前提ですが、遺伝性疾患に対する保険会社の対応はそれぞれ違うということですね。
レッグペルテスは1歳になってから発症する事があるので、出来れば遺伝性疾患も対象としてくれる会社を選んだ方が安心だと思います。
動物病院で時々あるトラブルの一つで「遺伝性疾患は保険が使えないので全額負担」と獣医さんに言われて支払ってしまうケースがありますが、保険会社によっては遺伝性疾患でも使えるという事を覚えておきましょう!
遺伝性疾患のこと
生まれつき体型や機能に異常があることを先天性異常といいますが、ほとんどの犬種で先天性異常が確認され、原因も様々です。
例えば、胎児が発育する過程で母犬が病気にかかり、やむをえず薬物を服用して胎児に影響が出ることもあります。
ただ、人間の赤ちゃんも同じですが、妊娠中の薬物以外にもこれまでの生活環境による化学物質が異常発生の原因になる事もあり、原因を特定するのは困難で、成長と共に出て来る病気(後天性)もあります。
こうした病気が代々受け継がれ、遺伝的な要因だけが原因となり発症する病気を、遺伝性疾患といいます。生まれた時点で病気を発症している(先天性)場合もあれば、大人になってから発症する(後天性)場合もあり、発症時期は様々です。
犬種の身体的特徴(スタンダード)が影響している遺伝性疾患は約2割
犬種にはそれぞれスタンダードといわれる、体の特徴やバランス、毛色や毛質、気質、歩様などの細かい定義の基準があります。
身体の特徴が原因の遺伝性疾患もあり、これは減らすにはスタンダードの特徴をなくす事になるので非常に難しい部分です。 例えば、パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、シー・ズー、狆、などの短頭は鼻孔狭窄症・軟口蓋過長症・喉頭小嚢反転症のような気道閉塞症候群だったり。大型犬の犬種では股関節や肘関節の形成不全、小型犬では歯突起形成不全やパテラなどがあります。
ですが、身体的特徴が関連している遺伝性疾患は2割で残りの8割は身体的特徴とは関連しないものと過去に研究で発表されています。
残りの8割は身体的特徴と関連しないので、この部分を減らして行く事がブリーダーの使命ともいえます。 最後に、遺伝性疾患の検査についてですが、すべての遺伝性疾患がDNA検査で判明するという訳ではなく、例えば膝蓋骨脱臼(パテラ)は、検査方法が獣医師による触診とレントゲン写真による視診のみで、遺伝性疾患とされていますが、DNA検査はありません。
遺伝子検査を実施できる遺伝病
病名 | 問題となりやすい犬種 |
α-フコシドーシス | イングリッシュスプリンガースパニエル |
イベルメクチン中毒症 | オーストラリアンシェパード、コリー、シェットランドシープドッグ |
遺伝性好中球減少症 | ボーダーコリー |
遺伝性の白内障 | スタッフォードシャーブルテリア、ボストンテリア |
X染色体連鎖筋ジストロフィー | ゴールデンレトリーバー |
グリコーゲン貯蔵病 | マルチーズ |
骨形成不全症 | ビーグル |
コリーアイ | オーストラリアンシェパード、コリー、シェットランドシープドッグ、ボーダーコリー |
GM1 ガングリオシドーシス | 柴犬 |
シスチン尿症 | ニューファンドランド |
周期性好中球減少症 | コリー |
重症複合免疫不全症 | ウェルシュコーギーカーディガン、ジャックラッセルテリア、バセットハウンド |
進行性網膜萎縮症 | アイリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、イングリッシュマスティフ、ウェルシュコーギーカーディガン、ウェルシュコーギーペンブローク、カニンヘンダックスフンド、キャバリアキングチャールズスパニエル、ゴールデンレトリーバー、シーズー、シェットランドシープドッグ、シベリアンハスキー、スローギ、チャイニーズクレステッドドッグ、トイプードル、ミニチュアプードル、パピヨン、ビーグル、ミニチュアダックスフンド、ペキニーズ、ボーダーコリー、マルチーズ、ミニチュアピンシャー、ヨークシャーテリア、ラブラドールレトリーバー |
セロイド・リポフスチン症 | アメリカンブルドッグ、イングリッシュセッター、ボーダーコリー、ミニチュアダックスフンド |
先天性筋緊張症 | ミニチュアシュナウザー |
銅蓄積症 | ベドリントンテリア |
白血球粘着不全症 | アイリッシュセッター、アイリッシュレッドアンドホワイトセッター |
ピルビン酸キナーゼ欠損症 | ウエストハイランドホワイトテリア、バセンジー |
フォンビルブラント病 | ウェルシュコーギーペンブローク、コーイケルホンディエ、シェットランドシープドッグ、ジャーマンショートヘアードポインター、スコティッシュテリア |
ホスホフルクトキナーゼ欠損症 | イングリッシュスプリンガースパニエル、アメリカンコッカースパニエル |
発作性睡眠 | ダックスフンド、ドーベルマンピンシャー、ラブラドールレトリーバー |
ムコ多糖症 タイプIIIA | ダックスフンド |
遺伝子検査はできないが遺伝病とされている疾患
- 股関節形成不全
- 肘関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼
- レッグペルテス
- 変性性脊髄症